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性格って、徐々に変わると思ってた。
お湯が段々と冷めていくみたいに。1秒前と1秒後の違いが全くわからないのに10分後だとわかる、みたいな。緩やかに、でもたしかに変化せざるを得ないと思っていた。
でも、私は昨日と今日で性格が変わってしまった気がする。
恋愛によって変えられたとか、ある本に出会って雷が落ちたような感銘をうけて変わったとかそういうんじゃなくて、
なんというか、今まで信じてきたものや言葉が他人の短冊の願いみたいに「たしかにそこにあるけど関係のないもの」になってしまった感覚。
すごく真面目に人生について考えてきた。
私の強みを活かして社会で働きたい、誰かの役にたちたい、誰かの役にたってない自分なんている意味がない。
人生の最大の目標が「自立」、正しいことだけをして生きていきたいと心から思った。
でも、どうでもいいよねって笑える友達ができて、生活の前後から切り離されるような絶望にも似た幸福を与えてくれる人と混ざって、なんだかもっと投げやりになっても大丈夫、傷をおそれるくらいなら、傷ついたことに喜ぶ変態になってやろうって思ってしまった。
「世間一般での幸福の形ではない幸せもあるのだ」っていう言葉すごいすき。
人生ゲームのコマを一個すすめたというか戻ったというか外れたかんじ。
かつての自分の悩みの渦中にいたコマを俯瞰してみると、自分が思ってたより純粋だったのかなって思えてくる。
これからこうやって同じ人間なのに価値観が変わっていくのかな。
セテウスの船じゃないけど、ちょっとずつ価値観がかわって過去の自分じゃなくなっていくと、自分ってなんなんだろうという初歩的な哲学に舞い戻る。