京急線の、新幹線みたいな席の窓際に座れた。景色が風にのってゆるやかに流れていく。多摩川のほとりでホームレスの集団が笑っていて、川をこえた住宅街でお兄さんが気持ちよさそうにのびをしていて、私を全く意識しない他人の表面的な平和をただダラダラ眺めて幸せになる感じ、なんだか既視感があるなぁと思ったらディズニーシーのアトラクションだと気づいた。ディズニーシーの、シンドバッド。船にのりキョロキョロする私たちなんかお構いなしに人形たちがその世界の中で愉快に揺れる。私が一番好きなアトラクション。

 

夏の夕方特有の淡い空と人々の生活の気配に心を奪われて、読もうと広げた本に、今日行った美術館のチケットの半券をしおり代わりにはさみ、かばんに仕舞う。

 

窓から外を見てるときに考える他愛もないことを自動で記録できて、何年かたってみれたら未来の私はどう感じるんだろう。

あの人の目が綺麗だと思ったのは、きっと人の目を真っ直ぐみるからなんだろうなぁとか、ナントカ宮殿の王様は、妻が4人に愛妾が300人、ボーイフレンドが35人いたらしいですよ、とかいう架空の会話のシミュレーションが浮かんだり、つまりはどうだっていいことがシャボン玉みたいにぶわり、と一気に思い浮かんで、思い出す間もなく音もなく消えていく。贅沢な時間の流れ方だ、とハッキリ自覚している私をのせた電車はホームについて、寝ている弟をゆり起こす。

 

最寄駅について電車をおりると、不思議でゆるやかな幸福感につつまれた。

私の中で、安心と愛はいつも喧嘩している。